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今、悩んでいる方へ。 2006年9月27日 記

 このサイトを開設して、早1年が経ちました。
 2年前と比べて、現在の私達の生活は、平穏そのものになっております。
 沢山の心配や不安は、正直あります。でも、それらは考え方で乗り越えられるモノもあるし、逆に乗り越えられないモノもあります。

 乗り越えられるモノは、乗り越える。
 乗り越えられないモノは、無理して乗り越えない。
 それが、私がこの2年間で、私なりに理解した事です。


 最近、ネットでよく、『定期健診でブルガダ症候群と判明し、検査の結果、ICDの植え込みを進められた』といった掲示板の書き込みや、ブログの日記を見かけます。
 ブルガダ症候群と診断された本人が書いていることもありますし、ご家族が書かれていることもあります。
 そして中には、とても悩んでいる方も、少なくありません。

 悩むことは、とても大切だと、私は思っています。
 ICDを植込むことで、諦めなくてはならない事、変えざるをえない事も、少なくありません。
 ICDを植込んだことで、好きなことを止めなくてはならないケースも、あるでしょうし、仕事の内容を変えなくてはならない事も、事実、あります。
 悩んで悩んで、自分の納得の出来る答えを、見つけられれば、それがベストだと思います。


 ただ、頭の片隅に、入れておいて欲しい事も、あります。

 失神歴があったり、家族歴がある場合は、やはり高い確率で、心室細動が起こる可能性があります。
 また、旦那君のように、家族歴も失神歴も無い場合も、あります。
 最初の発作が、心室細動で。それが原因で、亡くなる事も、あります。
 心室細動で、幸い命を取り留めても。
 障害が残る可能性の方が、高いのです。


 旦那君が心室細動で倒れ、蘇生までに掛かった時間が、約21分です。
 救急車が来るまでに、一緒にいた方が人工呼吸や心臓マッサージをしてくれたお陰で、この長い時間を乗り切る事ができ、そして搬送された病院の医療施設が、幸いにも整っていた為に、蘇生する事ができました。

 冷酷な見方だと思いますが、心室細動で亡くなられた場合、残された家族には、深い悲しみが残ります。
 でも、幸いな事に、心室細動で生き残ったとしても、重い障害が残ったら?
 私は、旦那君が倒れた時に、一生植物状態かもしれないと、医師に言われました。
 目が覚めたとしても、どれ位元の状態に戻るか分からないと、言われました。

 3日間の昏睡状態の後に、目が覚めた旦那君は、最初は記憶障害がり、自分の年齢が分からない状態だったりしました。
 この状態が一生続いたとしたら、私はどうすればいいのだろう?
 私が外で働くとしても、この状態の旦那君では、何も出来ないし、娘の面倒も、見せる事は出来ない。
 本当に不安で、押しつぶされそうでした。


 もし、旦那君に重度の障害が残っていたら。
 もしかしたら私は、旦那君にICDを植込んでもらわなかったかも、しれません。
 非情で残酷ですが、それが私の本心です。

 何の為に、ICDを植込むのか。
 何の為の、予防なのか。
 そして、誰の為なのか。

 
 ICDは、命のお守りです。
 もしも心室細動で倒れた時に、これが入っていれば、重い障害が残る可能性は、少なくなるのです。


 植え込みを、拒否する権利も、もちろんあります。
 植込むか植込まないかは、本人の気持ちが一番大事だと思います。
 悩んで悩んで、その結果、「植込まない」ことを選択する事も、ひとつの決断だと思います。


 ただ、障害者になるのが嫌だから。
 『自分はきっと発作なんて起きない』と、根拠のない自信から植込まないのだとしたら。
 もし、そんな風に思っている方が、いるとしたら。
 私は、もどかしさを感じずにはいられません。



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